９月１１日

もう６年ほど前になるけど、９月１１日にアメリカで同時多発テロが起きて世界中にショックを与えた。
あの頃、おかあさんはまだお琴を習っていて、その頃グランシップだかの三曲の会の演奏曲（「新潮」という曲）を練習していた。もう仕上げの頃で、ときどき皆で練習をしている頃だった。　しかし最後の総練習におかあさんは参加できなかった。その日、歯（センセイの勧めで歯の矯正をすることになったので、月に一度は調整に行くのだった）の予約が入っていたから。
それで、その週の日曜日、演奏会の日がきた。皆のお琴をセンセイの家から積んで運ぶよう頼まれていたので、クルマでセンセイの家に行き、お琴とセンセイを乗せて出かけて行った。
いよいよ、演奏の順番がやってきた。先生の合図で弾き始めると、「エーッ！」
いつも練習しているよりずっと遅い。
それで、おかあさんは出だしをみんなより早く弾いてしまった。びっくりして、しばらく休んでやっと合わせることができた。それで、何とか乗り切ることができたけれど、いい演奏などできるはずもなかった。（もともとうまいというわけではない）
やっぱり総練習は休んではだめね。

おかあさんにとっての９・１１はオサマ・ビンラディンや、飛行機がビルに突入する場面や、逃げ惑う人々の映像と共に、その思い出とつながっていている。それはたわいもないことだったかもしれないけれど、おかあさんにいくらかのショックを与え、おかあさんはその年の暮れになんだか練習する気力がなくなって、お琴をやめてしまった。そういう時期だったのかもしれない。
おかあさんは、またいつかお琴を弾きたいと思っている。７０歳くらいになって、元気でいたらまた稽古を始めたいと思っている。
マッ、やらないかもしれない。