２月５日

二月に入るとすぐ、あちこちで雪が積もったニュースが流れて、まわりの山々も白くなった。
寒くなると、ぐうたらなおかあさんは毎日同じようなかっこうでいるので、なにを着るか朝悩むこともない上、衣服費はほとんどかからない。というのも、パターンは毎日おなじで２,３枚の服を３～４日のサイクルで着替えているだけであるからである。ほんとうは、一週間でも二週間でもおなじでよいのだけれど、ぐうたらのきりもなくなるので替えているのである。
しかも、下は、防寒用ロングパンツ（ミズノブレスサーモ）、ジーンズ、さらに風を通さない防寒パンツという３段構えの基本をほとんどくずさない。さらに、足首にはレッグウォーマーをつけて、どこにいくにもそのかっこうで出かけていくのであった。まあ、屋外作業員または掃除のオバサンとまちがわれること必至である。
このあいだ、どうしても通販で買いたい雑誌があって、申し込んだのだけど、例によって支払いを選ばねばならない。ゆうちょ銀行、コンビニ、クレジットカードのいずれかを選ばねばならぬ。一番楽なのはなんといってもクレジットカードであるが、ふと郵便振込を選んでしまった。
すると、まず振込用紙をゆうちょ銀行までもらいにいって、書き込んだら、また支払いに行かねばならぬ。よりによって、一番手間がかかる方法を選んでしまった。

入金の確認があってから発送するというので、その本を早く見たいおかあさんは、すっ飛んで振込用紙をもらいにいったのであった。
振込用紙を手に持って帰ろうとすると、なんだか腰のまわりが涼しい。見ると、一番上のズボンがずり下がって、落ちそうになっているではないか。
おかあさんは、だれにも気づかれぬようズボンをたくし上げて、さっとあたりを見回すと、知らん顔をしてクルマに戻った。
なぜか一番上のズボンのボタンが止まっていなくて、ファスナーも開いていたのだ。
夕方で、まわりはあまり人がいなかったけれど、だれかに見られたかも知れぬ。そういう時は、見ても見ないふりして、目をそらすもんだ
おかあさんは、当分郵便局には行かれないと泣いている。