４月５日

わが家には、一本の桜の木がある。かれこれ２０年余前、おかあさんが友人から苗をもらい受けて庭先に植えたところ、ぐんぐん大きくなって今では人一人ではかかえきれないほどの大木になった。
これが、毎年花を咲かせてくれるので、わが家ではよそへ花見に出かけなくとも毎日庭先で花見ができる。
もちろん、桜の並木ほど豪勢ではないが、「オー、春が来たのう」という気分をあたりにまき散らしてくれる。大きくなったので、それなりに管理も大変になってきた。道路に被った枝は、切り落とさなければならない、若葉の頃はアメリカシロヒトリの集中攻撃から守らねばならない。落ち葉のそうじも大変だ。

それでも、春になると満開の花をみせてくれると、伐るわけにもいかぬ。なんでもソメイヨシノの寿命は６０年くらいだということであるが、何百年も生きている桜の木もある。おかあさんたちが死んで、この世から消えても、桜の木が毎年花をつけてくれたら、なんだかうれしいような気がする。この間の日曜日には、花見バーベキュをしようとしたら雨が降ってしまった。それからやや寒さが戻って、桜の花も長持ちしている。